FPPについて

所長が語る -FPPとは?-

レドックス制御とFPPの関係性

レドックスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本語に訳せば「酸化還元」と同じ意味です。実は、地球上に生息する生物は、動物、植物にかかわらず、酸化還元反応を基礎にして生存しています。FPPの働きを解明する上では、この反応が重要な意味合いをもっていると思われます。

レドックス制御システムで人間は日々成長し衰退する

酸化ストレスという言葉は最近よく耳にするかと思います。紫外線、放射線、重金属といった刺激が、酸化ストレスの原因であるとされています。酸化ストレスは、発ガン、老化、動脈硬化などの原因として、今日、稀代の悪者扱いを受けているのです。しかし、軽度の酸化ストレスは、生体の免疫活動を誘導します。つまり、酸化ストレスを受けたことを感知し、抗酸化物質と呼ばれる物質が働き出す仕組みになっているのです。この調節およびこれらの物質が行う酸化ストレスに関与する物質の機能調節をレドックス制御と呼んでおり、人間の体の中は複雑でダイナミックなレドックス制御システムによって、日々生まれ変わり、成長し、衰退しているのです。

抗酸化作用&免疫機能促進FPPの作用=レドックス制御

FPPの働きを解明する上で、このレドックス制御は無視して通ることはできません。数々の基礎研究結果や臨床データからもFPPが抗酸化作用を有し、酸化によって損傷を受けた細胞の修復促進(免疫機能促進)に関与している事実を掴んでいます。この働きこそがレドックス制御そのものなのです。ただ、FPPがレドックス制御システムのどの過程でどのように影響するのかは、はっきりしていません。それは、システムそのものが、あまりに難解で、解明されていない点が多いからで、近い将来、明らかにされることでしょう。
細胞の酸化ストレスを軽減し、レドックス制御が正常に機能する体は、日常の食事から必要な栄養素を十分に吸収できる体でもあります。FPPは、高い抗酸化能を持つとされているビタミンや、栄養分の吸収に重要な役割を持つミネラル類を含んでいません。にもかかわらず、それらとよく似た働きをするのは、このレドックス制御が鍵となっているに違いありません。
今後も、FPPの働きを深く追求することで、数多くの興味深い報告がなされることを確信しています。

FPPの免疫機能促進と抗酸化作用

私たちの体は酸化と還元の要素が絡み合い、それらが均衡することにより健康が保たれています。そのため過剰な外的要因が体に入り込むことで、メカニズムのバランスが崩れ、疾病の原因になります。特に酸化ストレスによる細胞中の遺伝子損傷は、重大な障害を招きます。臨床結果を基にFPPの免疫機能、抗酸化機能への働きかけについて報告します。

レドックス制御の指標は活性酸素と酵素のバランス

前回は、レドックスに制御についてお話しました。今回は、私達の体のレドックス制御が正常に働いているのかどうかを判断する指標のひとつについてお話します。私達が活動するためには必要不可欠な活性酸素。しかし、多量の活性酸素は私達の細胞を傷つけ、健康を脅かします。通常は、呼吸に伴って約2%の酸素が体内で活性酸素となり、外部から入ってくる菌や異物を溶かし、体を守っています。ところが、煙草やアルコール、紫外線、大気汚染、食品添加物、精神的ストレスなどが原因で活性酸素は増加します。過剰に増加すると、異物だけでなく正常な細胞までも攻撃をしてしまいます。また、DNAを傷つけ発ガン等を促進することもあります。体内で活性酸素が増え、体がダメージを受けている状態を酸化ストレスといいます。通常体内で活性酸素が増えても、活性酸素を除去する酵素(抗酸化酵素)が私たちの体を守ってくれています。しかし、この活性酸素と酵素のバランスが崩れ、活性酸素が過剰に増加し、酸化ストレスが大きくなると、胃腸障害、循環器障害、免疫系障害など、さまざまな疾患を引き起こす原因となります。

FPPのDNA損傷修復作用 臨床結果により報告される

ミラノ大学のフランシスコ・マロッタ教授は血液中の白血球と、DNAの酸化度を示す指標(8-OHdG)からFPPがDNA の酸化による損傷を防ぐ機能とともに、損傷を受けたDNA の修復を促す機能も高いことを臨床結果として報告しています。つまりこれは、FPPが酸化によりダメージを受けたDNAを正常なDNAに修復する修復促進(免疫機能促進)と、抗酸化作用を有している事を示しています。
大里研究所でも血液より採取の簡易な尿を使用し、DNAダメージの指標である8-OHdGの測定を行なっています。FPPの働きを追求する為に、過度の酸化ストレスを受けている状況下にある人々を被験者に8-OHdGを用いて更なる研究を進めて行きたいと考えています。
今後もFPPと酸化ストレスとの関係が重要なポイントとなり、それを解明していく事で興味深い数多くの報告がなされていくことでしょう。

8-OHdGとは
我々の体は約60兆個の細胞で構成され、細胞の中には生命を作り機能させるための「設計図」を持っています。その設計図はDNAと呼ばれるもので、全ての生命体の全ての細胞の中に含まれており、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基を持つ化合物で構成されています。DNA中でグアニン塩基を持つ化合物はデオキシグアノシン(dG)と呼ばれ、活性酸素によりdGの8位の炭素が酸化され8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン)になります。(図参照)8-OHdGはDNAが修復される過程で細胞外に排出され、血液を経て最終的に尿中へ排出されます。また8-OHdGは比較的安定な物質なので、生体内で分解されず尿中に排出される事や、食事などで摂取した8-OHdGは尿中に存在しない事から、活性酸素による生体内ダメージを反映する優れた指標とされ、DNA損傷の度合いを見ることが出来ます。体のどの部分が損傷を受けているかを確認することは出来ませんが、健康チェックの方法の一つになります。

図 8-OHdGの形成過程

健康と自己免疫システム

私たちの体には、健康を保つための素晴らしいシステムが備わっています。それは日々、攻撃を仕掛けてくる様々な障害と戦っています。
そのシステムは大きく2種類に分けることができます。

1)ウイルスの攻撃やがんと戦う免疫システム
2)過剰な活性酸素を壊して酸化ストレスと戦う抗酸化システム

FPPにはこの2つのシステムの働きを増進させる働きがあるのです。

FPPは免疫システムを向上させる

私達は紫外線、汚染された環境や蓄積された肉体的ストレス、病気などに対して、毎日免疫システムのお世話になっています。
図に示すのは、人間の年齢に対する免疫力の移り変わりとそれに伴うウイルスへの感染やがんに対するリスクを示しています。
人間の免疫力は、10代後半から20代前半をピークに年齢を重ねるに連れて衰えていきます(図1の青いエリア)。これに伴い、対照的にウイルスへの感染やがんに罹るリスクは年を追うごとに高くなっていくのです(図1の赤いエリア)。
FPPが免疫システムを向上させる働きをする、という研究結果が今までにいくつも報告されています。
HIVの発見者であるリュック・モンタニエ博士は、免疫システムの働きが衰えてしまうエイズ患者に対して、治療と並行してFPPの摂取を実施。FPPを摂取した時点から患者の体重が増加し、免疫力の指標となるCD4(シー・ディー・フォー : ヘルパーT細胞という免疫全体の司令塔のような役割をする、細胞の膜表面にある重要な抗原)の数値上昇を発表しています。また、コーネル大学の老人医学の権威であるマーク・ウェクスラー教授は、高齢者がインフルエンザの予防接種をしても、免疫力の低下によりきちんと抗体が産生されないという事実に注目。予防接種の3週間前からFPPを摂取することにより予防接種をした後での抗体の産生能力が上昇したと発表しています。

図1

FPPは過度な活性酸素と戦う

前述の項目でもお話したとおり、活性酸素は、体内の白血球が侵入してきたウイルスや細菌を殺す時や、細胞がエネルギーを作り出すときなど、私達が生活していくうえでどうしても発生する重要な物質です。そして体外からの紫外線などによる汚染や、不摂生な生活によって体がダメージをうけた時にも発生します。体が円滑に活動するために発生する活性酸素は、過剰発生の場合、今度は細胞、細胞膜、DNAを傷つけてしまう危険な物質にもなるのです。そしてこの攻撃が続けば、肉体的、精神的疲労をもたらし、長期的な病気を引き起こす要因にもなります。体内のレドックス(抗酸化)システムはこうした過剰な活性酸素を除去するために働きます。
このシステムも年齢を重ねるとともに働きが弱くなっていきます。したがって、図2が示すように年齢が高くなればなるほど酸化ストレスが蓄積され、除去できない活性酸素により疲れや病気が引き起こされやすくなるのです。イタリアのミラノ大学で消化器の研究をしているマロッタ・フランシスコ教授は、FPPの活性酸素除去の作用を様々な臨床研究で証明しています。胃粘膜、肝臓など酸化ストレスを受けやすいと言われる器官でもFPPを摂取することによってDNAの損傷が減少しました。

図2

以上のように私達の体内では、日々免疫システムや抗酸化システムがストレスや活性酸素から身を守っていてくれます。そして加齢や無理な生活によってそれらのシステムは疲労困憊し衰えていくのです。
したがってFPPのようなそれらのシステムを補助する役割をするものが必要となります。さらに、継続して摂取することで免疫システムと抗酸化システムが常に良く働いてくれる状態を保つことができるでしょう。