研究論文

中高齢者を対象としたテロメア動態とmiRNAにおけるFPPの有効性:
2年間にわたる無作為化二重盲検比較臨床試験

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Effectiveness of a Fermented Functional Food on Telomere Dynamics and miRNAs in Middle-Aged/Elderly Healthy Individuals: A 2-Year Randomized, Double-Blind, Controlled Clinical Trial

J Biol Regul Homeost Agents. Oct. 2022;36(5):1311-1319.

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本研究では、44-74歳の健康かつ非喫煙者107(女性58, 男性49, 平均年齢56.6±13.8, 平均BMI24.7±2.6)におけるテロメア動態および遺伝子発現調節の役割を担うmiRNAに対するFPP(パパイヤ発酵食品)の有効性を2年間にわたり無作為化二重盲検比較臨床試験を実施した

被験者は、FPP(9g/1)擬似薬を摂取するFPP群、または味の付いた糖類(9g/1日)と抗酸化物質(カテキン50mg, アントシアニン20mg, レスベラトロール200mg, ユビキノール80mg, 亜鉛5mg, シカ100mg, ビタミンE 200IU)を摂取する抗酸化物質群の2グループに分けた。両群は、摂取後1, 3, 6, 12,及び24ヶ月目に、白血球におけるテロメアの長さ、テロメア長維持に関連するTERTおよびWrap53の遺伝子発現に加えてテロメラーゼ活性の評価を行った。また、抗酸化酵素群遺伝子(SOD1、CAT、GPx1)、および修復酵素hOGG1ならびに老化プロセスとの関連が報告されている2つのmiRNA(miRNA-146aおよびmiRNA-181a)を解析した。

全年齢における白血球のテロメアの長さは、FPP群または抗酸化物質群において増加傾向に有意差は認めなかったが、60-74歳では、試験開始後6ヶ月目よりFPP群においてのみテロメア長の有意な増加を認めた(図1)。加えて、抗酸化物質群と比較し、テロメア長を維持するTERTおよびWrap53の活性も、有意な増加を示した(図2)。試験終了時におけるテロメラーゼ活性では、抗酸化物質群と比べ50%以上の有意な増加を認めた(図3)。

抗酸化酵素遺伝子CATSOD1、およびGPx1の発現量を検討したところ、両群において同レベルの増加を認めた(図4。しかし、hOGG1miRNA-146aおよびmiRNA-181aでは、FPP群のみ増加を示した(図4, 5)。また、TERTおよびWrap53の発現量増加は、GPx1hOGG1miRNA-146a、およびmiRNA-181a遺伝子発現と有意差を持って相関していることが明らかとなった。これらの結果から、FPPは、高齢者において抗酸化物質では難しいテロメア長を維持する効果を有することが示唆された。
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(図1)試験終了時におけるテロメア伸長の変化(60-74歳被験者)
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(図2)2年間におけるテロメラーゼ活性関連遺伝子の変化
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(図3)試験終了時におけるテロメラーゼ活性
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(図4)2年間におけるFPPおよび抗酸化物質による遺伝子発現量の変化
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(図5)2年間におけるFPPによるmiRNA-181a及びmiRNA-146aの発現量の変化