2019/09/06

水辺環境の授業を行いました

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真剣に耳を傾ける子どもたち

夏休み明けの9月4日、大野北小学校4年生を対象に、水辺環境の授業を行いました。
まず、大里研究所 清水より1学期に行った水質の授業についてのおさらいをしました。
今まで水質を調査した川について、点数と生き物をそれぞれ貼り出しました。それぞれの川の点数は、三水川は48点、研究所横の川は74点、北小学校横の川は80点、飛鳥川は87点。採れた生き物の分類を含めて考え、飛鳥川は「きれいな川」、北小学校横の川は「ややきれいな川」、三水川は「やや汚い川」という結果になりました。

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調査した川の点数と生き物を順に並べました

まちを流れる川には、上水道・工業用水道のための「用水路」と排水用に整備されている「排水路」があります。
大里研究所横の川について、用水路と排水路の2枚の写真を見比べてその差を発表してもらうと、草の有無や流れの速さなどの意見がありました。
用水路は水がきれいですが、流れが速くコンクリートで固められているため、生物があまりいません。
排水路は、人の生活排水などが流れ込む川ですが、川べりに草があり、底に泥や小石などがあります。

ホタルが生息するためには、「水」のきれいさは必要不可欠ですが、水だけではなく、姿を隠すための草や幼虫が蛹になるための土、卵を産み付けるためのコケなどが必要です。
「水」だけでなく、「水辺の環境」が大切である、ということを伝えました。

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積極的に手が上がりました

次に、「大野町ホタルの里づくり研究会」の後藤さんから、大野町とホタルの歴史、ホタルが育つ環境作りについてお話いただきました。

昔、江戸時代の俳人、翠丈軒琴茂は、大野町の野古墳群とホタルを「蛍飛ぶや古城の森に映るまで」(「野村十三勝」より)と歌にしています。
「やや汚い」という判断になった三水川は、昭和の初めの頃まで「美水川」と呼ばれ、地下水が湧き、船に乗ってホタルが飛ぶ様子を鑑賞する「ホタル狩り」が行われていたそうです。
ホタルは人間の生活を彩っていましたが、人間の生活の向上とともに、ホタルは暮らしにくくなりました。
ホタルが生息する川には「蛇行して流れに変化がある」「川岸の石にミズゴケが付着している」「川底が見えて小石が多い」「草木が多く適度な土がある」という共通点があるそうです。
三水川でホタルが暮らせない理由は、水量の増減が大きい、川底に土が多く、水草が多く川底まで光が入らないなどが考えられます。

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ホタルがいる川について考えます

現在、大野町ではホタルを保護する活動を行なっている団体・個人が6つあります。
それぞれの団体が活動し情報交流をして、ホタルが飛ぶ光景を後世に残せるよう頑張っています。

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大野町のホタルが暮らす水路

ホタルを育てる水辺(水路)を守り・育てるために、まず子どもたちには、「登下校時に水路に変化がないか注意を払う」「家庭から汚れた水を流さない」「水路にゴミ・空き缶・ペットボトルを捨てない」「水辺の草・木を適正に管理する」など身近なことから取り組んで欲しい、と後藤さん。

「ホタルは環境のバロメーター」であり、「ホタルが暮らしやすいことは人間も生活しやすい」といえます。
ホタルは人が飼育するものではなく自然が育てるものであり、ホタルが暮らす水を守り育てるために、一人一人の行動が「ホタルが暮らすふる里づくり」につながる、と締めくくられました。

夏休みが明けたばかりで、前回の授業について覚えてくれているか不安ではありましたが、たくさんの子どもたちから手が上がり、嬉しく感じました。
授業の最後に、子どもたちから多くの質問がありましたので一部を紹介します。

Q.カワニナの水槽にキャベツの他にキュウリがありましたが、キュウリも食べるんですか?

A.かじってあったら食べると言えるのではないでしょうか。カワニナは雑食なので、死んだ魚もキュウリも食べると思います。

Q.昔は田んぼにホタルがいたと聞きましたが、岐阜県内ではホタルがいる田んぼはあるのですか?

A.ゲンジボタルはカワニナが餌ですが、ヘイケボタルはタニシを餌にしています。タニシは水がやや汚れていても、水の流れがあまりなくても生きられるため、ヘイケボタルは少し水が汚い場所でも住めます。田んぼにもホタルがいたというのは、もしかしたらヘイケボタルかもしれません。川の上流はカワニナ、下流はタニシが棲む傾向があるので、山のすぐ麓はゲンジボタル、南の方はヘイケボタルがいる可能性があります。棲み分けしています。

自分たちの目で確かめ、触れ合うことで、よりホタルや環境に興味を持ってくれたことと思います。
大里研究所では、毎年ホタルが飛翔できる環境づくりにこれからも尽力していきます。

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ホタルが暮らすためにこれからも水辺の環境保護に努めていきます

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