研究論文

PNH患者に対する抗酸化作用を有するパパイヤ発酵食品(FPP)により溶血が改善した症例

FILE2010

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Decreased hemolysis following administration of antioxidant-fermented papaya preparation (FPP) to a patient with PNH

Ann Hematol. 89(4):429-430,2010

36歳女性は、1996年に身体虚弱と頻回の夜間ヘモグロビン尿症を主訴に来院し、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と診断された。この診断は、Ham試験とフローサイトメトリーにより確定された。この患者は、葉酸、鉄剤、ダナゾールを服用しており、平均ヘモグロビン(Hb)値〜7.5 g/dlLDH 2500 U/Lであった。FPP摂取前、患者は貧血(Hb = 7.4 g/dl, MCV 95 fl)、白血球減少症(WBC = 1500/μl)、溶血(LDH = 5300 U/L)、間接ビリルビン値と遊離Hb値上昇を認めた。また、血清中のハプトグロビンは検出されず、フェリチン(7 ng/ml)とトランスフェリン(5%)は低値であった。最新の骨髄所見は、赤血球過形成を認めた。

患者は、大里研究所により開発されたFPP 13gを、134ヶ月間継続して摂取した。FPPにより、Hb値は8.5 g/dlに上昇し、WBCの増加(3200/μl)に加え、貧血の指標が改善した。また、脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒドは、有意に減少し、これは細胞の変異原性および白血病態の改善につながると考えられる。この患者は、FPPの継続摂取により症状の改善、疲労の軽減とパフォーマンス向上に至った。

この結果は、PNH患者においてFPP 摂取による溶血症状および酸化ストレスの有意な改善を示唆するものである。また、抗酸化物質は、PNH の低費用な補助療法または代替療法として役立つ可能性が考えられる。

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図:3ヶ月間のFPP摂取によるHb値、白血球数(WBC)、溶血所見および酸化ストレスの推移

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