研究論文

機能性発酵食品の健康な中年の被験者における内皮機能に対する心臓保護効果

Cardioprotective Effect of a Biofermented Nutraceutical on Endothelial Function in Healthy Middle-Aged Subjects.

Rejuvenation Res. 15(2):178-181, 2012

血管内皮は、血管緊張の調節と血液循環、流動性、凝固性の維持と炎症反応を含むいくつかの重要な機能の制御に関連する、活動の盛んな組織である。 内皮機能は多数の心血管危険因子の影響を受け、喫煙者においては他の機能が健康的でも内皮機能は低下する。さらに内皮機能障害は、独立して将来的な心血管イベントや心血管疾患の予後に関連がある。

NOは内皮由来の欠かせない分子であり、NOによって媒介される内皮依存性血管拡張不全は、内皮機能障害の顕著な特徴である。活性酸素種の有効性は、直接的な細胞毒性を有するラジカルの生成とNO不活化を促し、細胞内タンパク質においてアルギニンN-メチル基転移酵素によってアルギニン残基がメチル化されることによって生成されるADMA(内因性のNO合成酵素拮抗阻害物質)が内皮機能障害とアテローム性動脈硬化症を引き起こすことが明らかにされている。従ってこの研究は、以前に積極的にNO調整作用を示したFPP(大里研究所、岐阜、日本)が同年代の健康な被験者において上記のパラメータに明らかに影響を及ぼすことができるかどうかテストすることを目的とした。

42人の被験者は、健康な中年(42-57歳、男性/女性:27/15)で薬の服用やサプリメントの使用がない者で構成した。被験者たちはFPP3gを1日に3回、6週間摂取し、3週間目と6週間目に試験を行った。プラセボ群は、同じ量のフレーバーシュガーを摂取した。

Cardio-protection Fig.jpg

結果では、可溶性CD40リガンドとhCRP(高感度C-反応性タンパク)のどちらのMDAもすべての被験者において正常値内で、FPP摂取による変化はなかった(データは示さず)。 FPPを摂取したグループにおいて、全体のFMD(血流依存性血管拡張反応)は4.2%から7.3%(p<0.05対プラセボ)までかなり増加した。 数人の被験者(プラセボ群の3人とFPPグループの5人)において、ベースラインでの4HNE値の異常(メーカーによって与えられるレファレンス範囲外)が見られたが、全体の値を有意に変えるものではなかった。しかしながら、その被験者のうちFPPグループだけで、4HNE値の正常化が見られた。 FPP摂取群では血漿NOの有意な増加とADMA値の減少も認められた(p<0.01)。

本データを心血管患者の統合的な治療アプローチに直接置き換えることはできないが、健康支援という考えで広く視野を広げると、価値あるものと思われる。

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